プレスリリース
- もったいない
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2年前の2月、ケニア出身の環境保護活動家で、環境分野における初のノーベル賞受賞者となったワンガリ・マータイさんと会った。
マータイさんは、日本人の「もったいない」の精神に感銘し、世界にこの言葉を広げる活動をしたことで有名だ。私たちは、ケニアへの日本人観光客の送客を依頼されたが、マータイさんいわく、「ケニアの人々も、多くの外国人観光客に触れれば、身の回りの自然や野生動物が単なる搾取の対象ではなく、保存・活用すべき『もったいない』物と気付くのではないか」と。
鹿児島はどうか。県外出身者として鹿児島に住めば、驚くべき、そして県外観光客の心をひきつけ得る資源が数多くあることに気付かされる。だが同時に、これが十分に保存・活用されていないことが残念に思われる。
歴史ある県都の風格、世界級の桜島の眺め、日々の生活に身近に存在する海の恵みといった豊かな資源が、無造作に創られた人工物によって失われている。他方で、県都の至る所に湧く温泉、新鮮な農畜産物や魚介類、大隅や離島に残る大自然など、若干の工夫を凝らせば豊かな資源になれるものが放置されている。鹿児島の方は「わが町には見せるべき特別な物が何もない」とよく言う。だが、その度に、ケニアと同様、案外、土地を熟知する人に限って自分たちがいかに「もったいない」物に囲まれているか気付いていないのでは、と感じる。
未来に向け、鹿児島を他県や外国の方にも誇れる郷土として発展させていくためには、県民一人一人が、身の回りの当たり前の存在している物を外の視点から再評価することで、本来の豊かな資源の保存・活用につなげていく必要があるのではないだろうか。
(公開日:2007年10月10日〜2007年10月10日)